F1 2003:Rd5 Spain

■スペインGP

 今回のスペインGPでフェラーリは、待望の新車「F2003-GA」を投入しました。「完走すれば必ず1-2」というような前評判から見れば、「あれれ?」といった感じです。すでにマクラーレンやウィリアムズからは「フェラーリの新車は大したことは無い」という発言が出ているようです。観客として、またはテレビ越しにレースを観た人も、或いは結果だけ見た人の中にも同じ考えを持った人がいたことでしょう。しかし忘れてはいないでしょうか。去年も同じことが言われていたことを。

 F2003-GAのデビューウィンは、ルノーの新星フェルナンド・アロンソの活躍に埋もれてしまいました。確かにフェラーリに割って入ったアロンソの健闘は誰もが認めるところです。しかし今回のレースは彼にとって2位で満足できるものだったでしょうか。私はアロンソが優勝できた気がしてならないのです。今回はそれを証明していきたいと思います。
 


マクラーレンは作戦ミスで倒れる
 新予選システムに馴染めず、土曜予選でミスを連発しているライコネンですが、第5戦でついに致命的なミスを犯してしまいました。アタック中にコースアウト、最後尾スタートになってしまったのです。それが決勝でのリタイヤの原因となりました。クルサードも早々にリタイヤしているため、マクラーレン勢の初期燃料搭載量を知る由はありません。

 しかしここ数戦のマクラーレンの傾向を見れば、レースディスタンスのちょうど3分の1ほどの燃料を積んでいたと予想できます。だとすれば22周、セーフティーカーを考慮すれば最低でも25周は走れたでしょう。予選でのタイム差と燃料搭載量で判断すれば(計算がややこしいので載せませんが)、マクラーレンはフェラーリ、ルノーと同等かそれ以上のポテンシャルを持っていたと思われます。つまりまともに完走していれば優勝も有り得たわけです。

 予選で燃料を多くつむと、ドライビングが困難になり、スタート順位も悪くなります。決勝ではスタート時に事故に巻き込まれたり(ライコネンを見よ)、遅いマシンに詰まる(クルサードを見よ)可能性も高くなります。今回のマクラーレンはその好例でした。
 

 
不可解なラップタイム
 今回のレースのラップタイムは、非常に不可解なものとなりました。フェラーリ勢はスティント後半になってもラップタイムが上がらず、むしろ下がっていくという傾向を示しています。他のブリヂストン勢も同じような傾向を示していますが、フェラーリほど顕著なチームはありません。このグランプリで、フェラーリはかなりダウンフォースを抑えたセッティングをしていました。それがタイヤの磨耗を酷くさせた可能性があります。

 アロンソのラップタイムは、スティント前半下がっていきますが、後半になると上がっていくというものでした。他のミシュラン勢もほとんど同じ傾向ですした。ミシュラン勢では唯一、ウィリアムズだけはタイムが低下していきました。

 今回のレースでは、ブリヂストンの方がミシュランより磨耗が厳しかったと言えるでしょう。また、ウィリアムズがタイヤを上手く使いこなせていないことも浮き彫りになりました。
 

 
アロンソは勝つチャンスが2回あった
 さて今回のメインテーマである、アロンソが勝つことができた可能性を探っていきたいと思います。

・スタートでバリチェロを抜けなかった
 ルノーのスタートには非常に定評があります。しかもアロンソはレーコードラインである、外側スタートでした。それを生かしてアロンソは、スタート直後に一時バリチェロの前に出ました。ところがその先の伸びはフェラーリが圧倒的に速く、軽々逆転されてしまいました。

 スタートで2位を守ったバリチェロですが、その後のペースが上がりません。アロンソはそれにつかえる形になってしまいました。これで自身のピットイン直前の16周終了時点で、トップのシューマッハから4秒も差をつけられました。

 しかし、1回目のピットを済ませた時には、シューマッハと2秒差にまで縮まっていました。

 つまり、もしアロンソがスタートでバリチェロを抜かし、かつシューマッハに2秒以内を走行していれば、シューマッハが1回目のピットストップを終えた21周目で、アロンソがトップに立っていたことになります。

・遅いマシンに詰まる
 1回目のピットストップを終えると、ミナルディの2台とジョーダンの2台で構成される4台の周回遅れがトップの前に立ちふさがりました。シューマッハは27周目に、1秒のロスでこの集団を突破しましたが、アロンソは2秒ロスしてしまいました。

 今度は2回目のピットストップの後、トップの前に立ちふさがったのは、まだ2回目のピットインを終えていなかったラルフ・シューマッハでした。ミハエルは1周でラルフをパスしましたが、アロンソは3周かかりました。これにより4.5秒もシューマッハから離されてしまいました。

 3回目のピットストップを終え、シューマッハとアロンソの差は6.4秒でした。遅いマシンに詰まっていたために、ロスしてしまったタイムは、2.0+4.5秒、つまり6.5秒だったわけですから、遅いマシンをスムーズに処理することができれば、ここでもトップに立つことができたと言えます。
 

 
ウィリアムズも悪くは無かった
 
グラフには記載していませんが、ラルフの第1スティントのペースは、上位3台と遜色ありませんでした。しかし、2ストップ作戦に変更したことから、非常に遅いペースとなってしまいました。結局4‐5位に入ったわけですが、予選順位が悪かったため、たとえ3ストップで行ったとしてもこれより上には行けなかったでしょう。ラルフはコースアウトしてモントーヤに抜かれてしまいましたが、ダ・マッタを抑えきったという意味では素晴らしい活躍だったとも言えます。

 今回のレースは、上位3台(特にミハエルとアロンソ)の争いはとても面白いものでした。しかし、マクラーレンやウィリアムズがまともに走れていれば・・・と考えれば少し残念であります。いずれにしろ、上位4チームの実力は拮抗しています。

トヨタは信頼性向上が急務
 
トヨタはダ・マッタが6位に入り、今季初入賞となったわけですが、一方でパニスはトラブルでリタイヤしてしまいました。入賞したダ・マッタにもブレーキトラブルが発生し、ラルフを抜くことができませんでした。もし早い段階でラルフを抜いていたならば、レース終盤にはモントーヤに追いつけたはずです。トラブルが無ければ4位入賞も有り得たのです。
 

 
F2003-GAの実力はいかに
 F2002のデビュー戦も辛勝でした。フェラーリは新車デビュー初戦で100%の力を出し切れないのでしょうか。フェラーリのセッティングが他チームと異なっていたことも原因の1つでしょうか。ともかく、この1戦だけではF2003-GAの実力を判断することはできません。

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