Descriptions 2003:Williams - BMW

ウィリアムズの1年

 チームにとって波の多い1年でした。

 序盤戦はフェラーリやマクラーレン、時にはルノーの後ろでもがき苦しんでいましたが、必死にマシンを改良し、中盤戦には完全復活を果たしました。ところがハンガリーGP以降不運が続き、速さが結果に結びつきませんでした。

 下の表は、シーズン中のマシンの主な改良点と、レースの成績を比較したものです。

  マシンの変化 レース結果
オーストリアGP
バージボードの廃止
排気口の大型化
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
2位
8位
マレーシアGP リタイヤフェアリングのミニウィング化
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
12位
4位
ブラジルGP
波型フロントウィングの導入
リヤサスペンションの改良
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
リタイヤ(スピンアウト)
7位
サンマリノGP  
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
7位
4位
スペインGP  
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
4位
5位
オーストリアGP  
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
リタイヤ(水圧系)
6位
モナコGP 新素材ブレーキディスクの導入
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
1位
6位
カナダGP 新素材タイヤの導入(ミシュラン)
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
3位
2位
ヨーロッパGP
リヤタイヤフェアリングの段差が消滅
ベンチレーションスタックの導入
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
2位
1位
フランスGP  
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
2位
1位
イギリスGP  
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
2位
9位
ドイツGP  
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
1位
リタイヤ(クラッシュによるダメージ)
ハンガリーGP  
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
3位
4位
イタリアGP 新型タイヤの導入(ミシュラン)
J-P.モントーヤ
M.ジェネ
2位
5位
アメリカGP  
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
6位
リタイヤ(スピンオフ)
日本GP リヤタイヤフェアリングの2枚化
J-P.モントーヤ
R.シューマッハ
リタイヤ(油圧系)
12位

 昨年から進歩した点は、エンジントラブルがなくなったことです。BMWエンジンはパワーも信頼性も最強だったと言えるでしょう。2003年のベストエンジンです。シャシーは昨年から大きな変更があり、シーズン中もほぼ毎戦改良が行われていましたが、トラブルは2回だけでした。(昨年は1回)このチームの最大の武器は信頼性です。

 序盤戦はマシンが遅かったのですが、信頼性を武器にポイントを稼げていたことで、速さを手に入れた中盤戦からタイトル争いに加わることができました。

 タイトルを逃した原因としては、序盤の出遅れという点よりも、ドライバーラインナップに問題があったと思います。フェラーリ、マクラーレンは2人のドライバーの実力差がはっきりしており、フェラーリもマクラーレンも、どちらか一方のドライバーにポイントが集中していました。しかし、ウィリアムズは両ドライバーの実力は甲乙つけ難いもので、ポイントも2人に分散しました。そのため、早い段階でドライバーズタイトルの権利を失いました。さらに、それがドライバーのモチベーション低下につながり、コンストラクターズタイトルまで逃しました。

 今後、このチームがタイトルを獲得するには、ドライバーを変更するか、ライバルが誰もついてこれないようなマシンを作る必要があるでしょう。


 今シーズン、ウィリアムズはほぼ毎戦マシンに目に見えるような改良を加えてきました。主なものを紹介していきます。


新車発表会-開幕戦
 ジェフ・ウィリスから、キャビン・フィッシャーにデザイナーが代わったため、昨年のマシン、FW24の面影はほとんど無くなりました。むしろフェラーリF2002にそっくりになっています。特に、フロントノーズとリヤタイヤフェアリングは、F2002にそっくりです。

 ギヤボックスもF2002同様小型化され、リヤの低重心化に成功しました。

 名門チームのプライドを捨て、他チームを真似てまでして作り上げたマシンでしたが、開幕前のテストでは全くタイムが出せず、FW24に劣ることもしばしばでした。

 新車発表会の時点では、フェラーリ風のバージボードがついていましたが、開幕戦までにそれはもぎ取られ、昨年同様サスペンション下に隠れることになりました。

 新車発表会の段階では、控えめだった潜望鏡型排気口も、開幕戦までにフェラーリ並の大きさになりました。

 開幕戦では運良く2位に入れましたが、先行きは不透明でした。
 




マレーシアGP
 第2戦マレーシアGPでも大きな変化が見られました。

 マシンのダウンフォース不足の解決策として、リタイヤフェアリングをミニウィング化するという暴挙に出ました。これは強力なBMWエンジンを持っていたからこそできたことです。

 そこまでしてもトップ争いには絡めず、ルノーにまで劣るという結果になりました。 

 


ブラジルGP
 
ここではフロントに変化がありました。フロントウィングの面積が大きくなり、さらにウィングが波型に湾曲しました。ダウンフォースを増やしながらも、乱気流を抑える効果があるようです。

 これを投入してから4戦後のモナコGPで、やっと今季初勝利を挙げました。


ヨーロッパGP
 リヤタイヤフェアリングが再び新しくなりました。ルノーに似た形状になっています。

 リヤタイヤフェアリングの段差が消えました。それをウィング化せずとも、ダウンフォースを得られるようになりました。

 さらにベンチレーション・スタックと呼ばれる、サイドポット上の煙突が付きました。これはリヤウィングの効率を高める効果があります。


 今年のドイツGPにあったように、他チームを完全に出し抜くポテンシャルを、ウィリアムズは持っています。来年以降はもっと力をつけてくるのではないでしょうか。少なくとも、クソ車といわれたマシンをベストマシンに改良させる力をもっているのです。これは今後のシーズンを戦う上で大きな自信になったはずです。

 ウィリアムズの1年
Descriptions 2003:Williams - BMW